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かがくほうほうろん

科学方法論

戸坂 潤

「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页

青空文庫

処で吾々がカントのこの立場に止まることが出来るかどうかを今は問わないとして、この立場自身が何故必然的であるかを理解する義務を吾々は有つ。

処がカントの批判主義、之に必然に伴わねばならない形式内容の二元論は、人々が素朴なその限り又実在論的な哲学的学問態度を信じることが出来ない限り、直ちに一応必然である。カント自身がコペルニクス的転回として誇り、又後の所謂カント学徒達によって、往々神経質と思われるまで誇張されるものこそこの必然性であるのである。之によって実在乃至存在の問題も亦認識乃至知識の問題にまで転回される。所謂形而上学乃至本体論は認識論乃至論理学にまで転回される。尤もこの時、問題を一歩進めて、この認識論的立場に止ることが当然であるかないかを問うべき場合に来る筈なのであるが、それは遙か後回しとして、少くとも一旦はこの立場に立つことが必然であるであろう。それ故茲に一切の問いは認識乃至知識に就いての夫として性格づけられる。そうすれば学問も亦之に従って一つの認識――学問的認識――として認識という規定に沿うて性格づけられる他はない。科学論が知識理論(Wissenschaftslehre)として認識論に帰属することは茲に初めてその必然性を有つ。