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かがくほうほうろん
科学方法論
戸坂 潤
「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页
而もこの交叉は至極自然に又徹底的に行なわれるであろう。処が方法と分類原理とのこの合致は従来の学問分類法に於ては、決して之程自然であり徹底的であることが出来なかった。この合致は今の場合の科学論の一つの長所であるであろう。伝統的な従来の分類に於て最も代表的であり又有力と考えられたものは然るに、自然科学と精神科学との区別であった。今の長所を判明にするためには予めこの区別を批評しておく必要がある*。
* この区別を支持する者としてヴントとディルタイとを並べ挙げることが出来るかも知れない。併し前者と後者とでは、精神科学という概念によって理解する処が、非常に距たっている。所謂精神科学に就いてのディルタイの優れたる洞察は、今の場合の批評の対象とはなり得ないであろう。後に至って之に触れる必然的な別な機会を私は有つ。
自然科学と精神科学との対立は、自然概念と精神概念との対立に基く。自然という概念は吾々の生活にとって最も活きて働いている概念の一つであり、そしてその起源は古い。それは意味の多くの分岐と変遷とを有っている。ギリシア哲学の自然、スコトゥス・エリウゲナのそれ、スピノザのそれ、ゲーテのそれ、最後に今日吾々にとって最も代表的と考えられるカントのそれ等々、様々に異った自然概念を人々は知っているであろう。