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かがくほうほうろん

科学方法論

戸坂 潤

「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页

青空文庫

対象と方法との反対は、単に論理的反対というばかりではなく、何か存在論的な反対であると云わなければならない。次に反対が形式論理的矛盾でないことは注意するまでもない。黒は白の反対であるが矛盾ではない。処で黒は白になる、黒は白に運動すると云うことが出来る。之に反して例えば東が西になるとは考えられない。二つは何か概念の構造を異にしている。黒白も東西も同じく相対的な反対概念と考えられるかも知れないが、吾々は両項間に運動の可能性を許すと許さないとを区別する必要がある。前者は反対概念であり、後者は単に相対概念である。そしてこの運動こそ今の場合にとって重大である。今私は両項間の運動の可能性に基く処の反対のみを特に反対と呼ぶこととする。従って例えば主観と客観との対立は反対とは呼ばれない。何となれば、主観と客観との区別によって或るものが説明されるためにこそ、両者の対立は想定されたのであって、両者の相対的概念成立の動機を忘れない限り、両者の間の運動は禁じられているからである。両者の対立関係は恰も前に述べた形式論理的統一のみによって統一しつくされるとも思われる。主観に対するものは「主観に対する或るもの」