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かがくほうほうろん
科学方法論
戸坂 潤
「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页
逆に乙は甲に就いて同様のことを行う。今人々が甲であるか乙であるかによって測定の結果が物理的に異って来るかも知れない。この時、甲乙何れの原点が他の者の規準となる資格があるのか。併し二人が代表するただ二つの原点だけで出来ている体系に於て、この原点の運動は全く相互の関係に於てしか認めることは出来ない筈である。そうすれば運動は常に相対的でなくてはならない。運動が相対的であるからには二つの原点の資格は同一でなければならない。どの原点が特に他に優った資格を有つということは之までの所ない筈である、絶対的原点、絶対空間が認められる理由は之までの所ない筈である。空間――原点はそれを代理する――は相対的である。空間の――測定の座標の――相対性は、恐らく人々が経験を俟たずに先天的理論によって、承認するものであるであろう。併しこの性質と必ずしも一致しそうには見えない経験的事実を人々は知っている*。そこで物理学者はこの経験的事実によって空間の相対性の一般的妥当を制限する代りに、却って空間の相対性に特別の条件を付けることによって、相対性を原理としながら今のこの事実を解釈しようと欲する。