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かがくほうほうろん

科学方法論

戸坂 潤

「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页

青空文庫

そして神話に於ける言葉でさえ、説話ではあっても多くまだ説明ではない、――説明は理由を語ることであった、そして神話は多く理由の代りに伝説を語るものだからである*。併し吾々は何も、この教え得る(説明し得る)という規定を以て学問性を定義しようとするのではない。云い換えるならばこの規定によって学問性を規定し尽そうとするのではない。そのようなことは不可能であるであろう。ただ吾々はこの性質を以て学問性の最初の一つの規定としようと云うまでである。であるから、たといこの規定が学問性全体を蔽うのでなくても、少くとも、この規定が学問以外のものにぞくさないことが明らかとなるならば、それで充分なのである。さてこのような意味に於て、そしてただ今云った意味に於てのみ、学問性はまず第一に教え得ること――教導性――である。

* 伝説と理由とを近づける時、神話性と学問性とは見分け難くなる。そして実際そのような場合を吾々はプラトンに於て、特に『ティマイオス』に於て、有つ。蓋し様々な意味に於て、神話は学問と密接な関係にあるであろう。

学問性の有つ教導性は、学問の有つ公共性の一つの保証の他ではない。