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かがくほうほうろん

科学方法論

戸坂 潤

「科学方法論」岩波書店、1929(昭和4)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,035 字 · 284 页

青空文庫

併しそうであるからと云って吾々は、そのような仕方に於て真理性の獲得を安んじて期待出来るとは限らない。一体吾々は根柢そのものに就いての真理性を獲得せずに済ませてよい筈があるであろうか。茲に自己批判が要求されるのである。処が第三に、自らの――自己の又は其の他の事物の――根柢は之を徹底的に理解する時――というのは最後の根柢へまで溯る時――常に社会的規定の他ではないであろう。そして一応学問性の根柢に達したと考えられる時でも、その時確実であり又或る意味に於て――第一第二の意味に於て――批判的であると考えられたとしても、社会性に接した根柢に於ては、学問性は実は或る一つの遊離状態にあることが発見されるのを常とするであろう。何となれば社会は事実上常に、事物をその根柢から遊離せしめ、そしてかく遊離せしめられた事物へ一応根柢と思われそうな外見上の固定性を与えるという性質を有つ条件を、それ自身に於て具えているからである*。社会的規定はこの意味に於て常に虚偽性を有つ――それは真理性の反対に他ならぬ。処が吾々は今真理性の実践的獲得をば学問性――自己批判――の名に於て欲していたのであった。