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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

序

序

科学というものが一纏めにして、一体どういうものであるかを、この書物は分析するのである。そこで、科学自身の脈絡を、なるべく生きたまま取り出して見たいと私は考えた。だがその点あまり成功したとは考えられない。もしこの小さな書物に特色というべきものがあるとすれば、それは、自然科学と社会科学の二つの科学に渡って、その同一と差別と更に又連関とに心を配ったという点だろう。

体裁にややテキスト風の処もあるが、併しあくまで、科学そのものに就いての評論という観点を守ろうと心がけた。この錯雑紛糾を極めた生活と思想との世界に於て、私は「科学」の性能に、限りない期待を有つからである。

今から丁度七年前、私は『科学方法論』(岩波書店)を書いた。今度の出版は、この旧著が立っていた立脚点を相当の程度に改変すると共に、出来るだけその規模を拡大したものに他ならない。だが旧著の内に展開されたシステムと見解の或るものには、依然として利用すべきものがあったと思う。この『科学方法論』が併せ読まれるならば、著者の幸いである。――なお今度の書物の思想内容は、すでに之まで出版した私の諸著述や論文の中に、分散して見出されるものが大部分なので、読者が次の拙著も参考にして呉れるならば、本望である。