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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
それ故、とリッケルトは結論する、科学はその対象によって分類されるべきものではなくて、却ってその研究方法によって分類されねばならない。同じ対象であっても、研究態度としての科学の方法が異るに従って、異った科学の対象となることが出来る。科学が、その研究する対象たる実在か何かの相違によって区別されるという考えは、だから単なる無批判な素朴な常識に過ぎないのであって、批判的な哲学(と云うのは先験的観念論)は、こうした独断をまず第一に切り捨てなければならぬ。科学は客観的な実在自身(それはそのものとしては不可知な筈だ)に基いて考察されるべきではなくて、却って、カントと共に、主観の観念性に基く何等かの原理に沿うて、考察されなければならぬ。之が真に哲学的な(というのは批判的な)「科学論」の根本だ、ということになる。
かくて科学の分類というテーマは、リッケルトによって、完全に、科学の方法というテーマに変る。では科学のこの方法と、所謂対象との関係はどうか。
普通、科学の対象は実在だと考えられているので、対象と云えば実在(Wirklichkeit)のことだと思われ易いが、併し批判主義哲学にとっては、一般に認識の対象(Gegenstand)は、認識にとっての対立物という意味に於て、初めて対象なのであって、認識が主観による何等かの工作