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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

*** リッケルトは歴史学に於ける法則の問題に因んで、個別的因果の概念を提出している。――尤も之によって、自然科学と文化科学という例の機械的な対立物は到底関連づけられはしないのであるが。――この問題に就いては、G. Simmel, Die Probleme der Geschichtsphilosophie を見よ。――なお歴史学の方法の変遷に就いては E. Bernheim, Einleitung in die Geschichtswissenschaft(Sammlung G※(ダイエレシス付きO小文字)schen)参照。

リッケルトが与えようとして果さなかった文化科学乃至歴史学に就いて、一応は最も卓越した方法論を示したものは、却ってW・ディルタイである。ディルタイの歴史学乃至精神科学の理論は、特定の学問上の伝統を背景としている。と云うのは、その精神科学の方法は、文献学(Philologie)乃至解釈学(Hermeneutik)に他ならないのである。文献学(或いは古典学)は、世間で普通、言語学と訳されている言葉であり、実際、それがギリシアで始まった時には文法学であったのだが、併し十八世紀後半に及んで、F・A・ヴォルフの学派によって、初めて一応古典語の意味を受け取るようになった。