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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
実証的とは単に事実的ということではなくて、検証が可能だということである。処が検証ということは、一定の予見を検証すること以外に意味がないのである。――吾々の問題はそこで、こうした実証性を代表する処の自然科学と、他の諸科学(乃至学問)との関係であり、おのずから又科学と哲学との関係となる。
元来が科学は、哲学から分離して来たものであり、元々その一部分であったことに就いて、今更改めて述べる必要はないだろう。例えば十九世紀の後半に至るまで自然科学という言葉と自然哲学という言葉とはあまり区別されていなかった。現代では自然哲学などというものの代りに自然科学があり、それで充分事が足りると考えられる傾きが支配的だが(併しそれでも最近の政治的反動時代に相応しく、ロマン主義的な神秘思想がナチス・ドイツあたりで復興されるに及んで、身心関係の問題などを縁として一種の自然哲学が復興しつつあるのだが)、凡ゆる社会階級を一様に通じては行なわれ得ない理由を有っている社会科学乃至歴史科学に就いては、今日でもなお依然として、或いは、最近の事情の下には愈々、之と密接な関係のあるものとして、各種の社会哲学や歴史哲学が尊重されているのである。