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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
ジャーナリズムの観念程今日鈍重に機械的にしか理解されていないものは、又とない。甚だしいのになると、之をブルジョア的大出版事業や之に基く文筆稼業のことだと決めてかかる場合さえあるのである。だがジャーナリズムの歴史的な本質はクリティシズムと常識とへの関係の内に横たわる。その社会的現象形態のごく現象的に著しいものが今日のブルジョア社会に於けるそうした所謂「ジャーナリズム」であったに過ぎない(ジャーナリズムについては、拙著『イデオロギー概論』と『現代哲学講話』〔いずれも前出〕の内を見よ)。
尤も或る一人の人間に就いて、彼が学者であるかジャーナリストであるか、学究家であるか批評家であるか、を決定することは困難であるばかりでなく又無意味でもあるように、常識と科学との実際的な連絡はこの区別によって払拭されるのではない。両者の連関の個々の項目に就いては今は省略しなければならないが、それにも拘らず、少くとも、常識を如何に常識として蓄積しても夫だけでは専門の科学的知識は高まらないと同じに、専門の科学的知識を科学的知識として如何に蓄積しても、夫だけでは常識は決して高まりはしない。