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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
は広く認められている)、つまり要するに常識の立場から(無条件に科学自身の立場から、ではない)、科学そのものを、科学の諸成果を、取り上げることを云うのである*。
* 評論はその対象が科学であろうが何であろうが、いつも文学的乃至モーラリスト的な資格を有っている。之が普通の研究論文などと異る点だ。そして又ここに、文学が他の文化領域相互間の媒介者として有つ普遍的な機能があるのである。――文学は小説や詩や戯曲のことばかりではない。科学時評なるものの意味さえも亦、ここに明らかである。
この意味に於ける常識化によって初めて、科学は単なる科学自身の立場からは判らぬその社会的機能を明らかにされる(科学が社会的に存在し得るのは、云うまでもなくそれが一定の欠くべからざる社会的機能を営むからだ)。科学と他の諸文化との連関も亦、ここで初めて問題として正当に提出されるのである。文明批評の観点を離れて科学の批評は不可能だ*。こうした「常識化」の手続きを経ないで、直接無条件に科学そのものの切断面から社会や文化を議論しようとするから、科学専門家の哲学や世界観が往々にしてナンセンスに陥らざるを得なくなるのである。