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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

「通鑑」風の教育的記述・史料編纂的なもの・実証主義的なもの・「哲学的」なもの・等々*)。こういうことは自然科学の場合には、顕著な形では決して現われない事情なのである。歴史科学が哲学的世界観と如何に宿命的に結びついているかが之で判る。

* B・クローチェ『歴史叙述の理論と歴史』(羽仁五郎訳)参照。

歴史科学から特に区別された狭い意味に於ける社会科学に就いて云えば、この点はより一層明瞭である。近代に至るまで、経済学(政治経済学)の発達にも拘らず、社会科学の正統的な代表者は、政治学だという通念が支配していたように見える。トライチュケが、政治学の他に社会科学(実は現代の「社会学」のことだが)なるものを必要としないことを力説したのは、この点から云って興味のあることだ*。処がこの政治学なるものは、敢えて政治哲学と云うまでもなく、古典哲学以来、哲学そのものの一分科であったのである。プラトンやアリストテレスは云わば純正哲学の応用や何かとして政治学を書いたのではない。アリストテレスの『倫理学』がそれ自身原理的に哲学の一ブランチであったと同じに、そのポリティカは、哲学の原則的な一ブランチだった。