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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
否、この第一次の常識としての世界観そのものすら、そのままでは科学の方法を終局的に決定することは出来ぬ。現実の客観的な実在世界が、実は一定の方法を科学に向って指定するのだった(ダーウィンの進化論はイデオロギーよりも寧ろ農業技術の発達に依存している)。処がこの際、夫々の科学は世界の夫々の部分をさし当りその研究対象にするのであったから、科学は、例の常識としての世界観の出来上った全体的な統一をば却って一旦破壊した上で、自分にとって必要な限りの現実界の部分に照応しているだけの世界観の部分を取り出し、之を科学的方法的に仕上げることになる。従ってこの際、イデオロギーも亦、全体を以て作用出来ずに、単に部分的にしかこの仕上げに参画出来ないわけである。こうやって仕上げられたものが、例の科学的世界像であった。――処で諸科学の夫々が世界観の部分々々を採って之を夫々の世界像にまで仕上げた時、原物の実在世界の統一に照応すべく、夫々の科学の間、夫々の世界像の間に、再び統一が齎らされねばならぬ。こうやって齎らされたものが、科学的――もはや常識的なではない――世界観なのである。
処が、この科学的世界観と雖も、依然として一個の世界観であることを失わない。