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くうちゅうふんぼ

空中墳墓

海野 十三

「新青年」博文館、1928(昭和3)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,986 字 · 28 页

青空文庫

かれは自分の身の上までの露見を恐れたのだ。それからというものは、彼はずっと島根県にブラブラしていた。それがこの頃、東京へ出て来たのには訳がある。彼は一つの疑問を持っていた……」

ここまで私が喋りつづけると、いきなり相良が金切声をあげて叫んだことである。

「あとは判った。イヤなにもかも判ったです。その辺に松井田が現われたら、彼に言って下さい。お前は大馬鹿者だ、トナ」

猶も相良は口の中でブツブツ呟いていた。

自動車が三人を乗せて新宿まで来たときに、私一人は降り、根賀地に相良を自宅まで送りとどけるように命じたのであった。新宿街のペイブメントには、流石に遊歩者の姿も見当らず、夜はいたくも更けていた。

次の日の朝であった。例によって私は午前十時に目を醒ました。窓を開いて見ると珍らしく快晴だった。ベルを鳴らすと、執事の矢口と、根賀地が入って来た。

「先生、あの若僧はどうしましょう。先生の傷はどうですか」

と根賀地が尋ねた。私は左腕を少し曲げてみたが、針でさすような疼痛につきあたった。

「昨夜、あれから手術をやって貰ったのでもう心配はない。それからあの若先生だが、もう三十分もしたらこっちへ来て貰うのだナ。