轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あきや
空家
宮崎 湖処子
「国民之友」1889(明治24)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,554 字 · 30 页
「誰もなしただわれ独りなり」「かほどの思い立ちをわれに告げずということやある」「否告げてすげなく留めらるるも面白からねば誰にも明かさず、ただ暇乞いに兄貴に告げたるのみ」「さらばわれも一しょに往くべし」
勇蔵が気質を知れる女房は痛くも驚き、佐太郎もまたはなはだ惑えり、「そは兄貴真実に」「無論のことなり」「そははなはだよろしからず、卿は姐子をよびて間もなければ、卿は今姐子と離るべからず、よし卿に恨みなしとするも姐子の心中も思いやられよ」
それもさなりと、一たびは思いたれども、すでに一日一金の甘言に酔い、しかして臆病者の佐太郎の決心に恥かしめられたる彼は、平生の気質のごとく焦るままに決心したり、「和主の言も無理ならねど、ともかくもわれも往くべし、せっかく急ぐべけれども支度するまで一両日待ちくれよ」
女房は青くなれり、佐太郎は涙ぐみ、「過てり過てり、告げずして往くべかりしに」と、返す返すも悔みたれど、早や転び出でたる玉いかんともするに由なければ、「サラバひそかに用意してよ人に知れては面倒なれば」と、再びその家に帰りて寝ぬ、
翌日阿園は村を駈け廻り、夫の心を回らすべく家ごとに頼みければ大事は端なくも村に洩れぬ、媒妁人は第一に訪ずれて勇蔵が無情を鳴らし、父老は交々来たりて飛んで火に入る