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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

何でも前から知合いだったそうで……。紅子という少女は、非常に感動しやすい、どっちかというと、我儘も強い方の女性でした。そんな人は、読心術の霊媒に使うと、非常に、うまく働くんだそうです。早く云うと、帆村君は、紅子を昏睡状態に陥し入れ、その側へ、猿轡をした鬼川を連れて来、紅子を通じて、鬼川の秘密を探らせたのです」

「そんなことが、出来るものかな」司令官は不思議そうに云った。

「帆村君に云わせると、いい霊媒を得さえすれば、わけのない事だそうです。いわば、鬼川の身体は、不逞団の秘密という臭気を持っているのです。紅子の方は、それを嗅ぎわける、鋭い鼻のようなものです。常人には、嗅いでもわからないのに、特異性をもった紅子のような霊媒を使うと、わかるんです」

「帆村君は、それで、何を発見したのじゃ」

「彼は、第一に、閣下の偽物が、司令部に頑張っていることを知りました。これは、わたくしも、既に気がついていたことだったので、成程と、信用が出来たのです」

「ほほう、君も、偽司令官を知っていたのかい」司令官は、意外な話に、驚いたのだった。

「それは閣下」湯河原中佐は、唾をグッと嚥んだ。