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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
「よろしい」リンドボーン大佐は、このとき長身を、すっくり伸して、直立し、厳然と、命令を発した。「爆撃用意!」
「爆撃用意!」モンストン少佐は、伝声管の中に、割れるような声を、吹きこんだ。「マルノウチ爆撃用意!」
アクロン号の、中央部に配置せられた、爆弾は、電気仕掛けで、安全装置が、バタバタと外されて行った。爆撃手は、照準鏡のクロス・ヘアーに、丸の内の中心部が、静かに動いてくるのを待った。
「適宜、爆撃始め!」
リンドボーン船長は、いよいよ、敵国の都に、二十噸の爆弾を、叩きこむことを、命じたのだった。
照準手のところへは、鸚鵡がえしに、高声器が、モンストン少佐の号令を、送ってきた。
「爆撃始めッ!」
丁度、その途端に、照準は、ピタリと、丸の内の中心に落ちた。
「ううん――」
照準手は、把手を、カチャリと、下に引いた。微かに、船体が、グッと持ちあげられたように感じた。三個の重爆弾が、発射孔を通って、サーッと、落下して行った。
一秒、二秒、三秒――
地上に、パッと、ダリアの花が、開いたように感じた。真黄ろな、燦然たる、毒々しい華だった。そこへ、
「だ、だ、だーン、だーン」