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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
「ああ、それでは――」と、町長の吉田老人は独りで合点をしながら「防空監視哨の電話設備を、平磯無線へ借りにいって下すったのだね。いや、こんどは、浩さんが居なかったら、わし等は、どうしてよいやら、途方に暮れることじゃった」
「いよいよ防空監視哨が出来るんですの」
「お国のために、やらなけりゃならんことになりました哩。この磯崎は、鹿島灘の一番北の端を占め、しかも町全体が、ズーッと海の真中へ突き出ているから、監視哨には持ってこいの土地ですよ」
「場所は、どこなんですの」
「三ヶ所、作れというお達しでナ、岬に一つ、磯崎神社の林の中に一つ、それから磯合寄りに一つ、と都合三ヶ所、作りましたよ。作ったのはよいが、監視哨に立つ人が、足りないので、弱っています哩」
「でも、ジュラルミン工場には、職工さん達が大勢いなさるから、一人や二人……」
「ところが、そうはならぬのですテ。ジュラルミンの工場は、なんでも国防用の機械を全速力で拵えていましてナ、こっちを手伝って貰うことは、出来ないのですよ。監視哨をやってもらうことにすると、それだけ軍需品の補充が遅れることになるそうじゃ」
「まア、そうですの。