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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
「昨日詳細なる報告が海軍からありましたが」と、又別な参謀が口を切った。「米国の太平洋沿岸で暴れた帝国潜水艦隊の損得比較は、どういうことになりましょうか」
「これはやや出来がよかった」別府将軍は、始めて莞爾と、頬笑んだ。「伊号一〇二は巧く引揚げたらしいが、行方不明の一〇一と、戦艦アイダホの胴中に衝突して自爆した一〇三とを喪ったのに対し、米国聯合艦隊側では、アイダホとアリゾナを亡くし、約六万噸を失った上、航空母艦サラトガに多大の損傷を受けたというから、まず帝国海軍の筋書程度までは成功したと云ってよいじゃろう。これで米国聯合艦隊も、相当胆を潰したと思う。金剛と妙高とを、南シナ海で喪った帝国海軍も、これで戦前と同率海軍力を保てたというわけじゃ」
「伊号一〇一は、爆雷にやられて、海底にもぐりこんだそうですが、特務機関の報告によると、海面に湧出した重油の量が、ちと少なすぎるという話ですな」
「ほほう、そうかの」将軍は初耳らしく、その参謀の方に顔を向けた。「だが重油が流れ出すようでは、所詮助かるまい」
「いや、それが鳥渡面白い解釈もあるんです。というのは……」
そこへ遽ただしく、伝令兵が大股で近よると、司令官の前に挙手の礼をした。