轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

号外の鈴は、喧しく、街の辻々に鳴りひびいていた。夜になった許りの帝都の路面が、莫迦に暗いのは、警戒管制で、不用な灯火が消され、そしてその時間が続いているせいだった。

警戒員の外には、往来を歩いている者も、無いようであった。誰もが、それぞれの家屋に落付いて、刻々にJOAKが放送してくる時事ニュースを一語のこらず聞いているせいだったであろう。

ラジオ受信機のない家こそ、惨めであった。区役所の用務員、浅川亀之助一家は、その種類に入る家だった。

「おい、おつる」亀さんが、暗い露路から声をかけた。

「どうなったい、お前さん」勝手元に働いていた女房のおつるは、十燭の電灯を逆光線に背負って顔を出した。

「いま聞いたところによるとナ」亀さんは、はァはァ忙しない呼吸をつきながら云った。

「いよいよアメリカの飛行機は静岡辺まで、やって来たらしいんだ。浜松の飛行隊で、追駈け廻しているけれど、敵の奴を巧く喰止ることが出来ないらしいんだ。それでも五つ六つ墜っことしたらしいってことだ」

「まア、大変だわネ。ンじゃ、今夜のうちにも、東京へ飛んでくるかい」

「来るだろうッて話だ」そこで亀さんは、鼻の下をグイとこすりあげると、駈け出しそうにした。