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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
帝都を守れなかった防護団員を皆殺しにするのだといっている。早く逃げないと、皆さんは殺されちまいますよ……」
「えッ!」
団員はハッと驚いて、互に顔を見合わせた。そんなことが起っているのか? 俺たちはこんなに闘ったのに、それだのに殺されなければならぬのか。これを聞いて泣きだした少年もあった。
「流言だよ。そんなはずはない!」
と旗男は叫んだ。
「いや、本当かも知れない!」
図体の大きいわりに、気の弱いパン屋のおやじさんが、半分かじったパンを手にもったまま、泣きだしそうな声をだした。
「どうすればいいんだ?」
鍛冶屋の大将も、これには途方に暮れてしまった。同士討なんて、考えたこともなかった。ラジオも電話も不通では、この騒はさらに大きく広がってゆくだろう。だが、旗男は、見なれない背広男の言を、どうしても信ずることが出来なかった。――数万人の暴徒が防護団員を殺しにくるなんて、そんなバカバカしいことがあるものか。
「そうだッ……」
旗男はふと気がついた。
送電が停っても、ちゃんと働く電池式受信機をもっていたことを思い出したのだ。放送局の非常用発電ガソリンエンジンも停っていればしかたがないが、もしエンジンが働いていて放送をやっているとしたら、旗男の受信機には入ってくる筈だった。