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くうかんがいねんのぶんせき

空間概念の分析

戸坂 潤

「思想 第八〇号、第八二号」

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,744 字 · 107 页

青空文庫

吾々は何の体系も構成しない、従って吾々は何の説明を与えることも出来ない、ただ分析し得るだけである。而もこの分析によって既知なるものから未知なるものが、又は未知なるものから既知なるものが出て来るのではない――吾々は演繹することは出来ない、ただ既知なるものが愈々確保されて行くというまでである。

* 概念に於ては名辞と事態とが対立する。そしてこの両者に対立するものは性格である。机という名前と机という物質と、及びこの物質をこの名を以て呼ばしめる性格と。

常識的空間概念の有つ存在性の事態の分析。

場処(「何処」)、位置などの名辞を以て呼ばれる事態を含み、之等を始めて成立せしめ得るもの、それは延長である。常識的空間概念の最も基礎的な概念はこの延長でなければならない。であるから空間的存在を有つもの――物体――と、それを持たぬもの――精神――との区別は、殆んど常にこの extensio によって与えられて来ているのである(その代表的なるものはデカルトとスピノザである)。強いて云うならば延長(又は広延)は二つの意味を有つことが出来るであろう。例えばロックは之を expansion と extension とに区別し、前者を虚空間としての延長、後者を実空間の延長と考えた。