轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たちがれ
立枯れ
豊島 与志雄
「改造」1933(昭和8)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,613 字 · 41 页
強烈な電気にでも打たれたように、とび上って、つっ立って、唇をわなわなと震わしてるのだった。その反応で、政子も一寸顔色をかえ、襖の陰に身を引いたが、やがて、室の中の様子を眼の中に納めてしまうと、いつもの静かな調子で云った。
「島村さんがお見えになりました。」
中江は、自分で自分の興奮に茫然としたらしく、無言のうちにうなずいたが、その僅かな身振で力がぬけて、そこにぐったりと身を落した。そして殆んど無意識のうちに、散らかってる紙片をとりまとめて抽出にしまうのだった。
島村はいつもの無頓着な態度ではいって来て、中江の様子をじろりと見た。そして中江が黙ってるので、煙草に火をつけながら云った。
「お邪魔じゃない?」
中江は口の中で返事をして、唖者のように首を振った。何かが頭の中から逃げていったようで、ひどく淋しく、がっしりした島村の体躯とその落付いた顔付とを見てるうちに、涙ぐんできそうになった。
「実は、キミ子さんがやって来て、君の様子が変だと、ひどく心配してたようだが……まさか、喧嘩でもしたんじゃあるまいね。」
冗談らしく見せたその率直な言葉に、中江は少し立直った。