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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
竹久夢二『童話集 春』。同一底本的分册已合并为一书。收入:はしがき、春、先生の顔、都の眼、クリスマスの贈物、たどんの与太さん、誰が・何時・何処で・何をした、日輪草、大きな蝙蝠傘、大きな手、玩具の汽缶車、風、最初の悲哀、おさなき灯台守、朝、人形物語、博多人形、街の子、夜、少年・春。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,531 字 · 97 页
「だって――母様、そう言ったもの!」
あなたの言ったことはきれぎれで恰度「いろは」の御本を読むようだったので、荒木夫人は呑込めなかったかもしれなかった。
しかし、兎に角、うまく行った。荒木夫人は火のように怒って、鼻息を荒くしながら、裾を蹴返して帰って行った。
「もう決して決して」といって、門の戸をピシャリと閉めた。
あなたは静かにドアをしめた。
戦は勝てり!
あなたは庭へ引返した。
「もう済んだ、もう済んじゃった。」
「何がもう済んだっての、坊や」
「荒木の奥さん」とあなたは答えた。
こんな風にあなたは母様に尽した。母様はますますあなたを可愛がり、あなたもますます母様に尽したのでした。この日頃あなたは病気ではあったものの、なお且機嫌がよかった。何故って母様がおいしい物を拵えては、お茶碗に散蓮華を添えて持って来て下さるたんびに、お代りのいるほど食べた――死なないって証拠のように。そうしては柔かい枕をして母様が手づから拵えたツギハギの丹前を掛けて横になった。枕もとには母様が嫁入の時に着たキモノの絹の小さなキレや、母様がずっと昔、まだ桃割を結ってた時分の、他処行のお羽織の紺青色のキレがあった。