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たけのさとびと
竹乃里人
伊藤 左千夫
竹乃里人「馬醉木 第六號」根岸短歌会、1903(明治36)年11月13日<br>竹乃里人「馬醉木 第八號」根岸短歌会、1904(明治37)年2月2日<br>竹の里人「馬醉木 第十一號」根岸短歌会、1904(明治37)年5月5日<br>竹乃里人「馬醉木 第十二號」根岸短歌会、1904(明治37)年7月15日<br>竹の里人「馬醉木 第十三號」根岸短歌会、1904(明治37)年8月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,338 字 · 29 页
やつを二、三枚、唐紙の鴨居に張つけて眺めていられ、しきりと面白い理由を説明して聞かせられた、先生はオモチャがすきだなどと人々みやげに買うてゆくようになったのも、何でも面白がったところから起ったのである、オモチャがことにすきであった訳ではない。
絵画についての嗜好は次第に強烈になって、絵であればどんなものでも面白がって見るようで、ある時陸翁の娘の六ツばかりになる児が、書いた絵をこんなに面白いがどうだと見せられたこともあった、晩年自分で絵を画くようになってからは、一層嗜好の熱度を高めた、渡辺南岳草花の巻物に狂気じみたことをやったに見てもその熱度が判る、もう長くは生きていぬと承知しながら、是非その草花の絵をわが物にしたいという執念、何という強烈な嗜好であろう、趣味の興快に乗じては自個の命を忘れるのである、自分の字がいやになったから、少し仮名文字を習ってみたいが、善い手本はあるまいかと問われたのも、逝去二月ばかり前のことであった、
おかしく気取って死際を飾ろうとするような手合とはまるで違っているかと思われる。
趣味を貪っては飽く