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わらうおしおんな
笑う唖女
夢野 久作
「文芸」1935(昭和10)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,719 字 · 31 页
澄夫の顔を指し、又自分の腹部を指し示して、情なさそうな奇声を発しながらオドオドと三人の顔を見廻わした。
「エベエベ……アワアワ。アワアワアワアワ……」
澄夫は絶体絶命の表情をした。唇を血の出る程噛んで、肩をキリキリと逆立たした。
「イヨオ。これは芽出度い」
という頓狂な声がして、澄夫の背後の廊下から伝六郎が躍出して来た。又も大盃を呷り付けて、素敵に酔払っているらしく、吉角力の大関を取ったという双肌を脱いで、素晴らしい筋肉美を露出している。
「ヨオヨオ。これは芽出度い、婚礼の門口に孕み女とは芽出度い、イヤア……汝あ裏山のお花坊じゃねえかい。こん外道人間。片輪者とはいいながら親の死んだ事も知らじい、どこをウロ付きおったかい。どこの×××××をば孕うで来おったかい。ええ。コレ……コレ……」
と云ううちにお花の両脇の下に手を入れて軽々と抱き上げた。お花は引離されまいとする一生懸命さに、片手で色々な手真似をしいしい、線香花火のように暴れ出した。繿縷布片の腰巻が脱け落ちそうになったまま叫び続けた。
「アワアワアワ。エベエベエベエベ。ギャアギャアギャアギャアギャ」
「アハハハ、わかったわかった。