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だいよんかいきゅうのぶんがく

第四階級の文学

中野 秀人

「文章世界 15巻9号」1920(大正9)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,065 字 · 9 页

青空文庫

然し文学は方便ではない。だから自由平等の社会が生れた時に文学は益々光るであろう。けれども果して自由平等の社会が実現され得るものであろうか。自我と社会との合致は如何なる意味に於て如何なる形式に於てなさるべきか? 之等は社会政策や哲学の論議にまかせよう。吾々が現実に文学を考えるに当っての問題ではない。文学は感情そのものである。文学は某々主義と同居してはならない。文学は常に正義と自由とに行くけれども、正義と自由とに囚われはしない。故に文学の価値はその感情の聡明さの程度によって判断せられるとも云える。がさて吾々の文学に対する興味が、第四階級に触れる時に最高潮に達するのは何が故か。それは之が全く新しい文学だからである。そして吾々の感情が第四階級に対する熱愛に燃ゆるからである。今や第四階級を除いては文学の行くべき道はない。それは幸か不幸か知る由もない。水の低きに就く様に文学の本流は茲に流れ落ちて来る。これには色々異存もある様であろう。けれども事実が之を証明しつつある様である。日本に於ても、二葉亭や啄木の方が、漱石や樗牛のものよりも現代人により多くの感銘を与えんとする傾向がある。