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かみのこうずい

紙の洪水

中谷 宇吉郎

「図書」1952(昭和27)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,079 字 · 3 页

青空文庫

アメリカの話も、もう皆鼻についているので、あまり書くこともない。しかしホテルに泊っていたのでは、一寸気のつかないこともあり、そういう話なら、少しは面白いことがあるかもしれない。しかし私はまだそのホテルに住居をしているので、書く資格が出来ていない。もう十日くらいすれば、家族の連中も到着するので、そうしたら、また種が出て来ることであろう。

ところで、家をもつと、一寸気のつかない点で、いろいろ困る問題がありそうである。その一つに、紙の始末という問題があるという話をきいた。一寸油断をすると、すぐ何貫目という紙がたまり、それに紙袋だの、汚れた紙食器だのというものは、嵩も大きくなるので始末に困るそうである。もちろんそういう廃物を集めに来る男があるが、あまり嵩張ると、大分チップを奮発しないことには、持って行ってくれないという。

アメリカの新聞は、御承知の如く、普段の日でも、十六ページくらいあるのが普通で、日曜などは、二十四ページにもなる。それに付録がつくことが多い。なるほどああいう新聞を、二種類もとっていたら、みるみるうちに、新聞紙の山が出来ることであろう。