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せせらぎのきょうしゅ

細流の興趣

佐藤 垢石

「釣りの本」改造社、1938(昭和13)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 911 字 · 2 页

青空文庫

鮒釣りには季節によりいろいろの釣り方があるが、乗っ込み鮒ほど興趣が深いものはないのである。鮒党はこの本乗っ込みをどんなに首をのべて待っていたことであろう。白い玉浮木がフワフワと流れてスイと横に動く味は、どの釣りにも求め得られない。竿も仕掛けも極めて軽く、そして繊細に作れば一層この釣りの妙所を味わい得る。竿は七、八尺から二間くらいまで、釣り場の幅の広さによって異なったものを選ぶ。仕掛けの全長は竿丈が扱いいい。道糸は秋田の渋糸十五本撚りか二十本撚り、錘から上方三、四尺を一厘五毛柄のテグスにして、錘は自由に調節ができるように板鉛を使うのが便利である。

鈎素は一厘柄三、四寸で錘から上方五、六寸の所へ一本枝鈎を出す。枝鈎の長さは二、三寸でよろしい。浮木は直径二、三分のものを三個つけて、錘との調節は仕掛けを振り込んで浮木が三尺ほど流れる時、錘が水底に着き浮木が流れ止まるようにするのである。これを乗っ込みのしもり釣りとも貝殻釣りともいう。貝殻釣りというのは、玉浮木がフワフワと水の中層を流れて、あたかも貝殻が底の方へ沈んで行くように見えるからで、あまり早く浮木が沈んでも面白くなし、あまり遅くても鮒が餌を発見するのが遅い。