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ぜったいむじゅんてきじこどういつ

絶対矛盾的自己同一

西田 幾多郎

「思想 第202号」1939(昭和14)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,000 字 · 99 页

青空文庫

絶対矛盾的自己同一としての歴史的現在の世界においては、種々なる自己自身を限定する形、即ち種々なる生産様式が成立する。それが歴史的種と考えられるものであり、即ち種々なる社会である。社会というのは、ポイエシスの様式でなければならない。故に社会は本質的にイデヤ的なものを含まなければならない。そこに生物的種との区別があるのである。イデヤ的に生産的なるかぎり、即ち深き意義においてポイエシス的なるかぎり、それは生きた社会である。

私のイデヤ的生産的というのは、歴史的物質的地盤を離れて、単に文化的となるということではない。それは形成的主体が環境を離れることであり主体が亡び行くことである、イデヤがイデールとなることである。主体が環境を形成する。環境は主体から作られたものでありながら、単に作った主体のものではなく、これに対立しこれを否定するものである。我々の生命は自己の作ったものに毒せられて死に行くのである。何処までも主体が生きるには、主体が更生して行かなければならない、絶対矛盾的自己同一の歴史的世界の種として世界的生産的となって行かなければならない。歴史的世界のイデヤ的構成力となって行かなければならない。