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うまいとうふのはなし
美味い豆腐の話
北大路 魯山人
「星岡」1933(昭和8)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,850 字 · 4 页
嵯峨の釈迦堂付近、知恩院古門前、南禅寺あたりの豆腐も有名だが、いずれも要は良水と豆に恵まれたせいだろう。
湯豆腐をつくるには、次のような用意がいる。
一、土鍋 土鍋があれば一番よいが、なければ銀鍋、鉄鍋の類でもいい。その用意もなければ瀬戸引き、ニュームなどで我慢するほかはない。が、これらは感じも悪いし、煮え方がいらいらしておもしろくない。こんろか火鉢にかけてやる。
一、杉箸 湯豆腐を食べる箸は、塗箸や象牙箸のようなものでは豆腐をつまみ上げることができないから、杉箸にかぎる。すべらないので、豆腐が引き上げやすい。銀の網匙などがあれば充分である。
一、だし昆布 水の豊かに入った鍋の底に一、二枚敷いて、その上に豆腐を入れて煮る。昆布の長さ五、六寸。昆布は鍋に入れた場合、煮立ってくると湯玉で豆腐ののった昆布が持ち上げられる恐れがあるので、切れ目を入れておくようにする。
一、薬味 ねぎのみじん切り、ふきのとう、うど、ひねしょうがのおろしたもの、七味とうがらし、みょうがの花、ゆずの皮、山椒の粉など、こんな薬味がいろいろあるほうが風情があっていい。この中で欠くことのできないのはねぎだ。