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つばさのやぶれたからす
翼の破れたからす
小川 未明
「赤い鳥」1924(大正13)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,807 字 · 8 页
そして、思い思いに、雨風の中を帰ってゆきました。
太郎は学校へゆくと、足をいためた友だちはもうなおってきていました。そして、うれしそうにみんなといっしょに遊んでいたのでありました。
「からすは、翼をいためても、医者にかかってなおすこともできないだろうし、どうするだろうか? あのように、雨や、風のはげしい日には、どこに、どうしているだろうか?」
太郎は、哀れなからすについて、思わずにいられなかったのです。彼は、哀れなからすを、もう永久に見ることがないと思っていました。
おいおい、春めいてまいりました。吹く風が暖かになりました。ある日の晩方、太郎は外に遊んでいますと、西の方の空は、紅く色づいていました。そして、日は静かに沈み、雲の色も、木立の影も、酒にでも酔うているようでありました。ちょうど、このとき、からすの群れが、頭の上を飛んでゆきました。太郎は、それを見ると、いつかの翼をいためたからすが、みんなといっしょに元気よく飛んでゆくのでありました。
彼は、それを見て、どんなに、意外に、またうれしく思ったでしょう。
「あ、あのからすも、あんなによくなった。」