轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろうふうふ

老夫婦

黒島 伝治

1925(大正14)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,957 字 · 27 页

青空文庫

またしても、むずかしい挨拶をさせられた。両人は固くなって、ぺこ/\頭を下げた。

「おなかがすいたでしょう。」坐敷を立ちしなに園子が云った。

「ヘエ、いえ、大事ござんせん。」

両人は、やっと自分達の四畳半に這い込んだ。

「うらあ腹が減ったがいの。」とばあさんは隣室へ聞えないように声をひそませながら云った。

「あゝ、シンドかったな。」

じいさんはぐったりしていた。それだのに両人は隣室にいる大佐に気がねして、長く横たわることもよくせずにちぢこまっていた。

「お前、腹がへりゃせんかよ?」

「へらいじゃ、たった焼饅頭四ツ食うただけじゃないかい!」

暫らく両人は黙っていた。隣室の話声に耳を傾けた。

「あのし等まだ去なんのかいのう?」

「さあ、どうかしらん。」

「いんたら、うらあ飯を食おうと思うて待っちょるんじゃが。」

それでまた両人は黙りこんで耳をすました。

「やっぱり百姓の方がえい。」とばあさんはまた囁いた。

「お、なんぼ貧乏しても村に居る方がえい。」とじいさんはため息をついた。

「今から去んで日傭でも、小作でもするかい。どんなに汚いところじゃって、のんびり手足を伸せる方がなんぼえいやら知れん。