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かんがえこじき
考えこじき
小川 未明
「子供の広場」1946(昭和21)年7、8月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,263 字 · 9 页
う。一年じゅうがそうであり、百年の間が、そうであったにちがいない。そしてこの山々は、昔も、今も、永久にだまっているのでした。
けずりをかけたような、がけの上に立ち、谷をへだてて、前方のいただきを見上げる人があります。その人は、自然を愛するために冒険をしたのでしょう。足もとの下は、すぐ千じんのそことなって、急流が白ぎぬをさくように、みだれちらばっている石につきあたって、しぶきをあげています。
写真に見いった清吉は、耳へ水音を、感じるのでした。
「もし、この人が、自分だったら。」
かれは、よくこんな空想をします。それから、かってにその先をつづけるのでした。自分は、はたして、このきりぎしの上に立つだけの勇気があろうか。足がわくわくして目がくらみはしないだろうか。ひっきょう、勇気のないものは、いくら美しいものがあっても、鑑賞するどころか、ただおそれをおぼえるぐらいのものだと思いました。
写真から目をそらすと、自分はあまりに異なった世界に立っているのでした。電車には、乗客が、すずなりにつかまっているし、トラックは、重そうな荷をいっぱいつんで走るし、自転車は、たがいに競争するように、前後にとんでいるのでした。