轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
「婦人公論」中央公論社、1957(昭和32)年4~8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,706 字 · 101 页
そんなことを考えているうちに、大池の死は過失ではなくて自殺ではなかったのだろうかと、ふとそんな気がした。
「魚を釣るときは、錨をおろすものなんでしょう。大池さんのボートは流れていましたね。あれはどういうわけなの……この湖では流し釣りをするんですか」
管理人は眼を伏せてモジモジしていたが、そのうちにささやくような声でこたえた。
「大池さんは釣りに出られたわけではなかったんです。つまり、その……」
「自殺?」
「はあ、そういうことだったらしいです。この湖で投身自殺するという遺書が、昨夜、おそく東京の御本宅へ届いたそうで、そのことはさきほどもわたしどもへお電話がありました……昨夜から今朝にかけて、自殺を思いとまるように説得してくれと、いくどかお電話くだすったそうですが、生憎、昨日はずっと吉田に居りましたので、なにもかも後の祭りで……御本宅の奥さまとご子息さまが七時三十五分の浜松行にお乗りになったそうですから、十時半ごろにはここへお着きになるでしょう……どうか、そのおつもりで……」
「お心づかい、ありがとう」
「わたしは石倉と申しますが、大池さんにはいろいろとお世話になりましたもので……むこうの管理人事務所に居りますから、ご用がありましたら、声をかけてください。