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かんぞうせんせい
肝臓先生
「文学界 第四巻第一号」1950(昭和25)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,194 字 · 46 页
支那大陸から持ちこまれた流感に関係があるのではないかと思っております。いずれに致しましても、かように多くの患者に向って、アナタも肝臓である、アナタも、アナタも、と申しましては、患者の中にはインチキと思う人もあり、同業者までインチキ視しまして、あれはフランスの医者であるとか、赤城氏性肝臓炎とか言いふらし、かくては当物療科の名誉を傷け、大先生の御恩にも背き、温泉療養所の先生方の目ざましい功績までも汚すことになるのではないかと心から恐れているのであります。それでお願いと申しますのは、この事実を申上げて篤学の皆様方の御研究の参考になって欲しいと祈るものでございます。謝恩会の席をかりまして、皆々様の御関心御研究をひたすらお願い致す次第であります」
先生がこう云って座につこうとすると、言葉も終らないかにスックと立ったのは長崎医大の角尾教授である。この教授はその後原子爆弾で死なれた由である。
「ただ今の赤城先生のお話は感動と尊敬をもっておききしました。人口いくばくもない辺地の診察室で、この事実に着目して診療に当っていられることは、同氏の研究熱心と、深い学識と、医師としての良心を証して余りあるものであります。