轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かんぞうせんせい

肝臓先生

坂口 安吾

「文学界 第四巻第一号」1950(昭和25)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,194 字 · 46 页

青空文庫

肝臓炎のボクメツこそ先生のイノチを賭けた念願だ。それにも拘らず葡萄糖の使用量は日毎に増加する一方だ。アア! 溜息をもらし、千丈の嗟嘆を放つ者こそは、先生その人であったのである。

私は戦争のはじまるころから、先生の病院へ通って掃除をしたり、薪を割ったり、畑を手伝ってあげたりした。というのは、女中が徴用にとられたりして、奥様一人では手が廻りかねたからである。

先生は看護婦を使わなかった。それは先生の患者に打ちこむ良心が深かすぎるからである。注射器の手入れをするのも先生であるし、薬を調合するのも先生だ。看護婦にまかせると、ツイおろそかになり易いことを怖れて、先生はすべてを自分でやらなければ気がすまなかったのだ。それなら小さな病院かというと、アパートよりも大きいぐらいの建物だ。けれども先生はめったに入院を許さない。その代り、足の医者をもって自ら心に期しているから、どんなに遠いところへでも、深夜をいとわず往診にまわった。

先生は最も熱心な愛国者であったが、医学上の信念から、はげしく軍部と対立する事件が起った。

戦争がタケナワとなって、町の一流の温泉旅館八ヶ所が徴用され、傷痍軍人や治療所関係者の宿舎にあてられた。