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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

在线阅读野村 胡堂《胡堂百話(こどうひゃくわ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,386 字 · 248 页

青空文庫

天竜川では橋銭を取られ、御油の町では、キャラメルを買おうとしたが、どこにもなく、鉄砲玉を十銭買って間に合わせた。

名古屋の旅館は、新聞社から口をきいてあったせいだろう。大変に歓待された代りに、金六円の宿賃に対して、茶代を十円奮発した。伊勢の亀山で、鈴鹿越えのタクシーを頼むと、宿の女将が眼を丸くして「もったいないことを、なさるもんじゃ、ありませんよ。十五円も出して自動車に乗らないでも、バスなら四十銭ですよ」

と、まごころこめて忠告された。僅か二十七年前が、まるで、夢のようであるが、そんなことは、どうでもいい。京都の三条大橋へ着くまでに、私は、完全に、広重のとりこになってしまったのだ。

帰りは汽車で東京駅へ着くと、私は、その足で、浮世絵を売る店へ駈けつけた。形だけを見る複製品でなく、広重の夢と魂のこもった本物を手にしたくなったからである。

考えてみると、私は、どうも、せっかちである。そして一とたびスタートすると、たちまちにして、病い膏肓に入ってしまう。レコードの場合もそうであったが、広重の時も例外ではなかった。

基礎知識の方は後回しにして、何はともあれ、浮世絵屋へ行った。