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のうめんのひみつ
能面の秘密
「小説新潮 第九巻第三号」1955(昭和30)年2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,440 字 · 35 页
「まさか小僧が犯人ではありますまいね」
「むろんそうですが、小僧にきいてみることが一ツあるのです」二人は辻の支社へついた。さっそく小僧をよんで九太夫がきいた。それは実に思いがけない質問であった。
「あの邸内で新聞を早く読むのは誰だね」
小僧もびっくりして即答できなかったほどである。
「そうですねえ。ぼくは夜学で夜ふかしして朝が早い方ではありませんし、奥の人たちもみなおそいんです。結局新聞の投げこまれるのが爺さんの窓口からですし、あの夫婦は早起きだからぼくらが起きる前に面白そうな記事は全部暗記しているほどですよ」
「あの邸に辻さんの新聞もはいっていたろうね」
「むろんです。奥さんは株をやってますからたいがいの新聞は目を通していました」
九太夫は我意を得たりとうなずいて、
「これですよ。解決の緒口は。爺さんは事件の翌々日も誰より先に新聞を読んだに相違ないのは毎日の習慣ですから当然考えることができます。あなたがあの朝の記事で報道するまでは警察も他の新聞もオツネのことを忘れていました。過失死か自殺と考え、アンマの話なぞ聞く必要もないと思っていたわけです。だから辻さんだけがその前の日に取材にきても警察がほぼ過失と定めていることだし、犯人もさほど気にしてはいなかったでしょう。