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ほどう
舗道
宮本 百合子
「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页
ミサ子は合点した。そして渡されたものを内懐へ深くさし入れ、すぐ柳の後につづいて降りて行った。
十三
焜炉を座敷の真中へ持ち出し、ミサ子はその中で柳がおいて行ったものを焼いている。割烹前掛をかけた両膝を焜炉のふちへ押しつけるように蹲んで、ミサ子はだんだん燃える紙に目を据えている。左手の先を割烹前掛の袖口の中へひっこめ口元を抑えている。さっきまで柳や坂田の喋っていた窓の障子は今もあいたままで、そこから風のない日に照る欅の木の梢が屋根越しに東京の郊外らしく眺められる。煙を出さず、明るい午後の森閑とした座敷の中で、明るい焔を立てて紙が燃えて行く。
ミサ子は何とその心持を表していいかわからず、凝っと袖で口元を抑えているのだ。これまでにしろ、小説で読んだり、新聞で読んだりして、種々の経営の中に強い、闘争的な左翼の組合のあることは知っていた。だが、柳から渡された全協一般使用人組合のニュースは、ミサ子に、漠然と頭で考えていたのとはまるで違う感動を与えた。組織は思いもかけないところまでひろがっている。〔三字伏字〕の内部からさえニュースが出ている。――