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ほどう

舗道

宮本 百合子

「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页

青空文庫

それから四辺に飛ばさないように焼屑を焜炉の下へおとし、それを片づけた後の座敷を掃き出した。思い込んで下を向いたまま丁寧にゆっくり箒をつかいながら、ミサ子はこういう一つ一つのことを自分が何とも云えぬ深い愛と注意とでやっているのに愕いた。こういう文書を始末する心持は独特であった。跡かたもなく焼き、掃き出しながら、しかも逆に焼きすてたものの内容が一層身につくというような切実な感じなのだ。

翌朝、ミサ子はこれまでにない希望と観察に満ちた気持で丸ビル前の広場に溢れる勤人、女事務員の群衆をながめた。

××○○会社の通用門を入ろうとするところへ、ちょうど向うから柳がやって来る。ミサ子は思わず包みを持ちかえながら待ち合わした。

「お早う……」

「お早う……ひとり?」

柳はきのうのことは何にも云わず、ごくあたりまえに、

「おひるにまた誘ってね」

と云った。

十四

三十三円六十八銭也。それだけが××○○会社の中で、はる子の慰問金としてあつまった。一番親しく行き来しているしづ子がそれをはる子の家へ届ける役に当った。

二日ばかりしてはる子から心のこもった礼状が慰問金を出した女事務員一同宛に来た。