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ほどう

舗道

宮本 百合子

「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页

青空文庫

柳が決定的に云った。

「せっかくお金出したのに、あとあとまで睨まれたり、迷惑がったりする人があっちゃいけないもの……、今日しづ子さん、あなたの部だけまわしてしまえない?」

「さあ、やって見るわ」

「あしたは、れい子さんの方へまわしましょうよ、ね?」

そして、柳は、

「そのとき、ちょっとこれもついでにまわしてよ」

と、窓枠へ紙を押しつけて、手早く一枚の短いノートを書いた。

「なんなの?」

書いている肩越しに覗き込みながられい子が、

「あら、本当?」

と嬉しそうな声を出した。

「私早速申込もうっ、と!」

「なに、なに」

「この次の左翼劇場へ団体で見物に行けるんですってさ」

「へえ……」

しづ子は、左翼劇場のことなどはよく知らないらしい。ぼんやり、柳からノートをうけとった。

「まとめて切符とると、やすくなるのよ。あなたの方で何枚いるか、はる子さんの手紙といっしょに希望者を集めて下さいね」

ミサ子は、左翼劇場へゆくときなんかはよく連立って出かける××商事の順子のことを思い出した。

「ね、それには、よそのひと誘っちゃいけないかしら」

と柳にきいた。

「よそのひとって……」

「私、××商事に友達がいるのよ。