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ぶま

舞馬

牧 逸馬

「新青年」1927(昭和2)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,843 字 · 16 页

青空文庫

「誰を?」

「もすさんをさ、滑るところを」

「何を言やがる! 助かるものなら助けてえって下の娘を覗いてやがるから、おれが――」

「突いたんだ。ついたんだ、やっばり突きおとしたんだ!」

「ばか言え!」

峰吉は土いろをしていた。一生懸命だった。袴へ片足入れたまま、羽織の袖をひろげて茂助の滑る真似をして見せた。それは、いまにも泣きだしそうな不思議な顔だった。

「こうよ――いいか――こう滑って、足をはずして――こう廻ってな、な、こう――いいか、こう――」

「突き落したのかい」

「そうじゃねえってのに! ただこう右足が左足に絡んでよ――いいか、こう転がってよ――」

「もういいじゃないの。何だなえ、嫌だよ、へんな恰好をして――わかったっていうのに」

お八重はとうとう笑い崩れた。きょとんとして、峰吉が首すじの汗をふいていると、いきなり御めんと障子があいて、巡査が顔を出した。

「あ! 旦那!」峰吉は尻もちをついた。

「何です、にぎやかですねえ。あ、これね、署長があんたへ渡すようにと――なに、表彰文だよ、校長さんに書いてもらったんでね、あんたが式で読むんだそうだ。や、では」

巡査が行こうとすると、お八重が、「あの、旦那」