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ふねのはへんにのこるはなし

船の破片に残る話

小川 未明

「童話の社会」1930(昭和5)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,277 字 · 5 页

青空文庫

」と、いいました。

「そうだ、船を真珠島へ着けよう、俺たちは、それだけの冒険をするかわり、うんと報酬をもらわなくちゃならない。」と若い船員たちは、ほかにもいつか甲板の上に集まってきていて、いったのでした。

ひとり、船長は、だまって考えていましたが、

「おそかれ、はやかれ、一度は、あの真珠島へ船を着けるようになるだろう。私は、この船と運命を一つにすればいいのだ。みんなが、気ままにするがいい。」と、船長は、いって、自分のへやへはいりました。

へやには、青い鳥が、かごの中で、じっとしていました。よく馴れていて、船長の顔を見ると鳴きました。船長は鳥のそばへ寄って、

「長い間、よく私をなぐさめてくれた。おまえの声をきくと、あの南洋の人間に汚されない、らんの花の香う森林を思い出すのだ。おまえは、その強い翼で、森林へ帰ったがいい。」

こういって、かごの戸をあけて、鳥を海の上へ放してやりました。青い鳥は、しばらく操舵室の屋根の上にとまってあたりを見まわしていました。

「ああ真珠島だ。真珠島だ。」という叫びが船の上から起こりました。この時分から、ようやく波のうねりが高まってきました。