轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しきさいえいがのシナリオ

色彩映画のシナリオ

中井 正一

「シナリオ」1951(昭和26)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,329 字 · 5 页

青空文庫

その中に、繰り返し、繰り返し出てきた、ボートの帆の赤さは、そのリフレインの主題の役目をもっていたのである。

あの映画の中で、なお一つ注意すべきは、全シナリオを通じて、それが赤い色であることをもってのみ、この筋をひきしめ、その赤さは、人々をして、目にしみ入るほどの強い印象をあたえた一つの赤い色があった。

それは、シナリオ・ライターが、胸にかくしもって、それが金筋のハイライトの役割りをもつものであった。それは、ほんの二点の灯にしかすぎなかったが、小さな消えつつある電池によって点じている電信機に灯っていた「赤い色」であった。その赤い火が灯っているかぎり、ボートの乗組員の位置が大西洋を航行しているいずれかの船に、S・O・Sのモールス信号を伝えうるのである。

しかも、その「赤い色」は、そのキーをうつ者だけに見える小さな灯なのである。全乗組員は、ひそかに、心の中で、その赤い灯が消えはしないかと、怖れている赤さなのである。その赤さが、小さくなり、ついに消える時がくるのである。それを見つめる電信技手の瞳、止まる手、その音の消えたのを深い怖れで、見かえす少年の瞳、瞳と瞳、電信技手は、表情をあらためてあたかもその赤さが消えていないがごとく、カタカタカタとうちつづけているのである。