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えんようき

艶妖記

山本 周五郎

忍術千一夜 第一話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,761 字 · 38 页

青空文庫

八

や「穴底」や「石蓋」の所在を知ったのである、そして埋蔵されていた家代々の砂金や古貨幣や大判小判や宝玉類を発見したにすぎないのだ。――で、今日は建築落成の祝いである。八十畳も敷けよう大広間はあふれるような客で、もう酒も相当にまわり、活発なる会話が飛び交っている、「いやどう勘ぐりまわしてみたところで、玉造の若旦那の変わりようには手が届かねえ」蛭田の島平どんがそう云った、「それに比べて泣くに泣けねえのは黒門のごんえむ様さ」

八

「金満家だと思った婿殿は贋金作りの闇七という悪人だわ、婚礼の席へ捕り方が踏み込むわ、連類だといって親子三人しょっ曳かれるわ土蔵からは十幾つも贋金の詰まった千両箱が出るわ、風をくらった息子二人は贋金で博奕をやって捉まるわで闇七の同類は動かぬ証拠だと、あれだけのさばり返った人が今は牢舎で獄門人と倶寝だ」

「人に泣きをみせれば自分が泣く順番よ、天道に嘘はねえ」

これはどうも、はからずも武藤殿一家の消息が知れ申した。ところで肝心かなめの八百助がみえない、われわれの主人公はどうめされたか、――ああいや数寄屋に御座るぞ、どうやら客人らしいが、それも御婦人のようだが、――いやこれは、なんと御覧あれ黒門のおせん嬢でござる。