轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなび
花火
「文芸」1942(昭和17)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,233 字 · 29 页
思案深げに、しんみり言う。
チルチルなるもの、感奮一番せざるを得ない。水臭いな、親爺は親爺、おれはおれさ、ザマちゃん(風間七郎の愛称である)お前ひとりを死なせないぜ、なぞという馬鹿な事を言って、更に更に風間とその一党に対して忠誠を誓うのである。
風間は真面目な顔をして勝治の家庭にまで乗り込んで来る。頗る礼儀正しい。目当は節子だ。節子は未だ女学生であったが、なりも大きく、顔は兄に似ず端麗であった。節子は兄の部屋へ紅茶を持って行く。風間は真白い歯を出して笑って、コンチワ、と言う。すがすがしい感じだった。
「こんないい家庭にいて、君、」と隣室へさがって行く節子に聞える程度の高い声で、「勉強しないって法は無いね。こんど僕は、ノオトを都合してやるから勉強し給え。」と言う。
勝治は、にやにや笑っている。
「本当だぜ!」風間は、ぴしりと言う。
勝治は、あわてふためき、
「うん、まあ、うん、やるよ。」と言う。
鈍感な勝治にも、少しは察しがついて来た。節子を風間に取りもってやるような危険な態度を表しはじめた。みつぎものとして、差し上げようという考えらしい。風間がやって来ると用事も無いのに節子を部屋に呼んで、自分はそっと座はずす。