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げいじゅつとうせいぜひ

芸術統制是非

辰野 隆

「文藝春秋」文藝春秋、1935(昭和10)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,981 字 · 8 页

青空文庫

むしろ初めから、官辺の庇護などに頼らず、一人一党の見地に立って、もしともに進むなら、真に気の合った同志だけで、あくまで、民間の団体として、好むところに淫するとも、楽しみを改めたくない、というような清々しい、潔い主張が一としてなかった事は限りなく淋しかった。たとえ、新美術院の展覧会には断じて出品せずと主張しても、それはむしろケチ臭い打算や党派心の方が目立つのが面白くない。官権を必要とする奴らは奴ら、俺達は俺達だという毅然たる態度でもなく、役人などをてんで馬鹿にしたのん気さも陽気さも感じられない。これなくて、そもそも何の芸術家ぞと言いたくなる。ことに不思議なのは、官権に拠っていた旧帝展の一派と対立して、布衣の美術家たる事を誇りとしていたらしい派から、新官僚美術院の主なる委員が、ジェネラシヨン・スポンタネとして、しかも月足らずで、多数生まれ出た事である。彼らは宿年の同志にも謀らずして、かかるトライゾンを、あたかも自由な行動であるかのごとく、平然として恥ずるところがないのだろうか。

僕はこのたびの事件を眺めながら、美術家の群は文人の群とは比べものにならぬほど、毎度ながら如才ないものだと感服した。