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わかいむすめのりんり
若い娘の倫理
宮本 百合子
「婦人公論」1940(昭和15)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,181 字 · 18 页
その意味でも女にとって画期的な時代に入っているのではないだろうか。あらゆる若い娘が、現実の自分の日々の外へ目を走らせてそこで何かの幸福、何かの自信をつかもうと心を空にいら立つのをやめて、自分のおかれている現実をよく見て、それを理解して、その中からうまずたゆまず自分がこうと思う方向へ根気よい爪先を向けて生きてゆく。そのことに自信を培うしかない時が来ているのだと思うがどうだろう。
目下のところ、解決された形で示されている若い娘の幸福は一つもないと云えるだろう。人生は激しいものである上に、今の世紀は全世界が動いていて、そういう時代だからこそ益々若い娘の生きてゆくよりどころが、外へ外へと求められて行っては混乱するばかりである。一つの例をとって、ここに働いている娘さんが、余暇に自分のゆたかさのためにアテネ・フランセに通って勉強していたとする。人類の文化の精華にふれてゆけるという或る憧れやロマンティックなもので、フランス語を学んでいたら、今度パリがおちたらフランスは博物館国になっているという風な云いかたをする人も出て、何だかその語学をつづけてゆく自信がないようになったということも、昨今では決して無くはないだろうと想像される。